(130)単利から複利に変更すると、通算利益率は増えますが、取引回数や期待値は減ります。
■単利から複利に変更すると、通算利益率は増えますが、取引回数や期待値は減ります。これはなぜでしょうか?
どんな戦略でも、
単利→複利にした場合、
(A)通算利益率は増える
(B)取引回数が減る
(C)期待値が落ちる
という傾向になると思います。
これはなぜかといいますと、以下の影響が大きいと考えられます。
(A)複利は、利益が出ればどんどん総投入金額が大きくなるため
単利は総投入金額が一定なのに対し、
複利は利益が出ればどんどん総投入金額が増えていきます。
そのため通算利益率が単利よりも増えるのは必然となります。
(B)出来高制限があるため
最適分散投資画面に、
「直近出来高3日間平均の0.50%を上限」
といった項目があると思います。
複利では、
2000年以降右肩上がりの戦略の場合、
直近での1銘柄投入額が1000万になる、
などということもザラです。
ただ、1000万も1銘柄に投入するには該当銘柄に相当な出来高が必要となります。
たとえば
・該当銘柄の終値:300円
・該当銘柄の直近3日間の出来高平均:100万株
・該当銘柄の直近3日間の売買代金平均(概算):3億
という銘柄があったとしまして、
これは単利の場合は仕掛け対象となる銘柄です。
ただ複利の場合には、
直近3日間の売買代金平均×0.005>1000万
といった条件を満たさないと出来高不足となり、
シグナルの対象外となります。
上記例の場合ですと、
3億×0.005=150万<1000万
となり、この銘柄には150万以上は投入できないため、
シグナル対象外となります。
このように、
「複利では1銘柄投入額がどんどん増えるため、単利の場合よりも仕掛けられる銘柄数が減ってしまう。そのため総取引回数が減る」
という形になります。
(C)売買代金が大きい銘柄は、ボラティリティ(変動幅)が小さくなるため
複利は1銘柄投入額がどんどん増えるため、
Bの理由により売買対象銘柄の売買代金もどんどん増えていきます。
1銘柄投入額が1000万などを超えてきますと、
もはや小型株のシグナルは出来高制限に引っかかるため仕掛けられなくなり、
たとえばみずほやファーストリティリングなどといった大型株のシグナルも増えていきます。
大型株は小型株に比べますと板がだいぶ厚いこともあり、
ボラが小さくなります。
ボラが小さくなるため、期待値も落ちる、
という形になりますが、
これはある意味必然であり、避けられないことではないか、と考えております。
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