システムトレードブログ

シストレ駆け出しの頃にはまる罠(12) 常に最悪の状況を想定した運用を心がける

クリスマスですね〜、とはいえクリスマスとは縁遠いので、別段普段と変わるわけでもありませんが…せめてクリスマスプレゼント代わりに、運用戦略の成績が向上することを望むぐらいでしょうか笑

今日はシリーズ第12弾、「常に最悪の状況を想定した運用を心がける」について書いてみたいと思います。

知り合いに大手コミュニティサイトのシステムエンジニアの方がいるのですが、

大手コミュニティサイトともなると、結構開発にしても保守にしても大変そうな感じがするのでそういった部分について質問してみたりすることがあるのですが、

たとえば「どういった部分が一番大変ですか?」と聞いてみると、

「普通のユーザーさんもいれば、ハッカー(不正な操作をする人)などもいるため、セキュリティや、常に最悪の操作を行われる可能性を想定して開発するのが大変」

といった答えが戻ってきました。

もはや完全にネット社会のご時世、大手サイトともなるとセキュリティにしても何にしても、「自分の身は自分で守らなければいけない時代」といえそうですね。


この話は、個人的にはシステムトレーダーにも通じるところがあるな、と感じました。

特にトレーダーは自分のお金を自己責任で運用するわけですから、孤独な戦いです。誰に頼ることもできず、自分の身は自分でしっかりと守らなくてはいけません。

「自分自身の保守を行う」ためには、

上のエンジニアさん同様、「常に最悪の事態を想定した運用を行う」ということが必要になってきます。


ただ特にシストレ初心者の頃はどういった状況が最悪の事態か分からない場合が多いと思いますので、いくつかありがちな最悪の事態を招く可能性がある事例を書いてみたいと思います。


(1)戦略の過去の成績を過信しすぎて、1銘柄に投資しすぎてしまう

戦略の過去の成績を信じすぎて、「過去にこれぐらいの成績なら、これぐらいの金額を突っ込んでも大丈夫だろう」という感じで1銘柄に過度に投資するようなカスタマイズは危険です。

戦略の標準設定のファイルはある程度リスクを抑えるよう考慮されているものが多いと思いますので、カスタマイズの際には「なるべくリスクを抑える」という点を特に意識されるといいのではないかと思っております。

粉飾決算のアクロディアや日本風力開発などは上場廃止を免れましたが、1銘柄に投資しすぎるようにカスタマイズした後にこういった悪材料が出てしまっては甚大な被害を被ります。

株はレバレッジが小さいという意味で比較的リスクが抑えられた部分もある反面、やはり「上場廃止」という最大の敵があります。資金の小さいうちはある程度集中投資になる部分はしょうがないですが、資金が大きくなればなるほど、分散投資を心がけた方が無難ではないかと思っております。


(2)戦略の1トレードあたりの勝率が高くなりすぎるようカスタマイズしてしまう

これもよく書いていることですが、「1トレードあたりの勝率」はとにかく落とすべきではないかと思っております。もちろんスキャルピングの戦略などでは勝率は無視できませんが、寄り引け型やスイング型のシステムトレードでは1トレードあたりの勝率はあまり上げすぎないほうがいいと考えています。

たとえば「1トレードあたりの勝率80%!」という戦略があった場合、単純に見ると
「5回トレードをしたら4回は勝てる!」と思ってしまいそうですが、

過去の結果では確かにそうかもしれませんが、「将来的にその勝率が維持できるかどうかは分からない」ため、過信しすぎると予期せぬ暴落などで甚大な被害を被る場合もあります。

また、実際に勝率80%だったとしても、5回トレードをやって4回勝てる場合もあれば、
最初に20連敗して次に80連勝する場合もあるかもしれません。(極論ですが

勝率を過信しすぎて投資金額を増やしすぎた場合、20連敗した際にもしかしたら破産してしまうかもしれません。

勝率が高い戦略というのは個人的に、「精神面にも油断をもたらす場合が多い」と考えています。

なのでそれよりは、「普段からある程度負けを許容し、トータルでプラスを目指すタイプの戦略の方が、普段負けている分油断を生まない」というメリットがあると思っています。

ただ、これはあくまで個人的な考え方ですので、やはり一番はご自身に合っているかどうかで判断されるのが無難といえるかもしれませんね。


(3)全資産を常に全力で投資してしまう

全資産を常に全力で投資するという行為は、非常に危険です。

「もし明日暴落が起きて、含み損が全資産の-10%を超えても耐えられるかどうか?」

を常に想定するのがおすすめです。

といいますのも、アメリカ同時多発テロの時にしてもライブドアショックにしても、こういった市場の暴落を招くニュースはほんの一瞬で発生します。

苦労して稼いだお金を、絶対に危険にさらしてはいけません。

そういった点からも、「常に余力を残した運用を心がける」のがおすすめです。

システムトレードは短期で一気に儲けようとするよりは、

「リスクを抑えて長期的に続けていった方が結果的には利益を出しやすい」

と私自身は経験上感じています。

常に「今後も生き残っていく」という意識を持たれるといいのではないかと思いますね〜。

トレシズの「シストレ駆け出しの頃にはまる罠」の記事

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