(12)検証期間の開始日を変えるとシグナルや成績が変わる本当の理由とは?
今日は、よくあるご質問と回答シリーズの第12弾、
「検証期間の開始日を変えるとシグナルや成績が変わる本当の理由とは?」
について書いてみたいと思います。
たとえばですが、最適分散投資段階におきまして、2000年1月4日から検証した場合と、2012年1月1日から検証した場合とで、
「あれ、2012年1月〜3月近辺の取引内容や成績が違うぞ?」
といったことがあると思います。
実際ユーザー様視点ですと、なんでこういった現象が起きるのか分からない部分もあるかと思います。
「戦略の不具合だろうか?」
とお考えになってしまう場合もあるかもしれません。
これは結論から申し上げると、「日々の余力の変化」に起因する現象です。
たとえばですが、
資金200万円用の買い戦略におきまして、最適分散投資の検証を2000年1月4日にスタートしたとします。(こちらをパターンAとします。)
2000年1月4日にみずほフィナンシャルグループに150万円のシグナルが出たとします。
その際に、2000年1月5日での余力は50万円となりますので、2000年1月5日には50万円を超える銘柄のシグナルは出ません。この日は新日鉄に50万円分のシグナルが出たとします。
次に、検証期間の開始日を多少変え、2000年1月5日から資金200万円でスタートしたとします。(こちらをパターンBとします。)
この場合、2000年1月5日での余力は200万円ありますので、パターンAと違い2000年1月5日での余力はだいぶ多くなっています。
そのため、新日鉄の他に、三菱UFJフィナンシャル・グループや東京電力などのシグナルが出たとします。
この際に、パターンAとパターンBの2000年1月5日での保有銘柄を比べてみますと、
・パターンA
みずほフィナンシャルグループ
新日鉄
・パターンB
新日鉄
三菱UFJフィナンシャル・グループ
東京電力
といった感じで、保有銘柄にずれが出てくる形となります。
スイングトレードの場合、上記のように1日変えただけでもずれます苦笑
また、この日以降も、それぞれの銘柄の株価変動によって、損切りに引っかかってしまう銘柄、もしくは利確など、複雑な要素が絡んで日々の余力が変化するため、
検証期間の開始日を変えると、取引内容が若干異なる形となります。
ただこれは序盤のお話でして、検証期間の開始日からある程度の期間が経過しますと、取引内容が一致してくる場合が多いように思います。
基本的には、検証期間の開始日を変えると、日々の余力が変化するため取引内容が変わってしまうもの、とお考えいただくのが無難といえるかもしれません。
これはデイトレードをのぞく全ての戦略で起こることでして、イザナミや戦略の問題というよりは、シストレの根本的な仕様としてお考えいただくといいかもしれませんね〜。
2000年1月4日から検証した場合と、2012年1月1日から検証した場合とで2012年1月のシグナルが異なるのは、
「2000年1月4日から検証した場合には2012年1月初頭で保有銘柄がある場合が多い」ため、2012年1月1日から検証した場合と比べて余力が少ない、というのが一番の理由といえるかもしれませんね。
なお、これは複数売買ルールファイルと、それぞれの戦略を個別に検証いただいた際の差にも言えることでして、
複数売買ルールファイルの成績と、それぞれの戦略を個別に検証いただいた際の成績は、大きくは違わない場合が多いですが、完全には一致しない場合が多いと思います。
この現象も実は、上記のように「日々の余力の変化」による影響でして、
複数売買ルールファイルの場合ですと、それぞれの戦略で余力を共有するところがあるため、戦略個別の検証時よりもさらに複雑な要素が絡んできます。
戦略個別でも検証期間を一日ずらしただけでも保有銘柄が変わるぐらいですので、複数売買ルールファイルの場合はさらに影響が大きいのは間違いないですよね苦笑
基本的には、余力の問題で以上のような現象が起きることは避けられないもの、とお考えいただくのが一番かもしれません。
ですが、それぞれの戦略を個別に検証した場合と、複数売買ルールファイルとでシグナルが完全に一致しないのはデメリットばかりではなく、
もちろんマーケットインパクト抑制という点ではメリットといえます。
また、それぞれの戦略を個別検証時と、複数売買ルールファイル検証時とで、どちらが将来的な成績で勝るかは分かりませんため、
どちらが優れている、というお話ではないと思っていますね〜。
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