過去に試した投資手法(1)
システムトレードの過去の検証上の結果で、
「全シグナルを仕掛けられさえすれば、期待値が大幅プラスになる」
戦略は結構いっぱいあります。
ただ、全シグナルを仕掛けるためには最低でも4,000万円以上は資金がないと厳しいので(しかも市場の大暴落時にはレバレッジが必要)、実際のところ、私自身も含めて一般的には成り立たない手法ではあるのですが…
そんな中で、過去に私が試した手法を書いてみます。
■売買ルール
○買い条件: ザラ場の株価の移動平均乖離率(SMA・5日)が-12%以下で指値で買い
※ザラ場の株価の5日移動平均乖離率の算出方法
A =(過去4日の終値の合計+ザラ場の株価)/5
ザラ場の移動平均乖離率(SMA・5日) = (ザラ場の株価 - A)/A*100
※ザラ場の株価の移動平均乖離率(SMA・5日)が-12%となる株価で指値で買います。間に合わなかったら成行で買います。
○売り条件: 建て値の+10%で指値で売り または、2日後の寄り付きに売り
○投資対象: 全市場全銘柄
○1銘柄あたりの売買代金: 10万円(1単元30万円以上の銘柄は除外)
■実際に指値で買う方法
全銘柄のザラ場の移動平均乖離率(SMA・5日)を目測でチェックするのは不可能なので、プログラムが必須です。
私の場合は、有料の株価取得サービス「タワー」を使って60秒遅れの全銘柄の株価を取得し、PHPで60秒毎に乖離率を計算していました。
(1)プログラムを使って全銘柄の乖離率をリアルタイムで計算
(2)乖離率が-12%以下なら成行で買い
(3)乖離率が-12%に近い場合には、株価が安い順に指値を入れておく
(4)約定したら、建て値の+10%で売り注文を入れておく
(5)売り指値に約定しない場合には、2日後の寄り付きに売り
■検証結果
当時システムトレード初心者だったこともあり、上記のような無謀な手法を試してみましたが、以下のような事態におちいりました。
(1)資金が足りない
(2)指値を入れるのがものすごく忙しく、突然乖離率が-12%以下にワープしてくる銘柄があるため、スリッページがひどい(買いがたまって買えない場合もあり)
(3)買った後にストップ安に張り付いてしまう銘柄もある
■結論
(1)上記手法を運用するのには、圧倒的な資金力が必要
(2)人の力では無理なので、UWSCなどを使って自動売買にする必要がある
(3)ドローダウンとスリッページは大きいが、確かに期待値は結構プラスになる(1トレードあたりの期待値2%以上)
(4)トレード損益の標準偏差がかなり大きいので荒い
という、微妙な結末だったため、当時は運用をあきらめました。
でも、今振り返ってみると、頭で考えているだけではなくて、実際にこうした失敗を繰り返して痛い目にあってきたのが経験となって、結果的には良かったのかなって思ってます。
システムトレードって何か閉じられた空間というか、名前だけは有名でも、その中で実際にどういう風に運用したりしているのかって謎な場合が多いですよね。
個人的にはシステムトレードをもっとオープンにしたいというか、
もっと気軽に入っていける世界になったらいいな、なんて思ってます。
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